グループホームなら、これまでのような「放置」状態にはならないはず。 認知症対応の専門の方がいる安心感と、これからは母の穏やかな日々が待っているという明るい未来を想像していました。
当時はコロナ禍で、入居後は面会が一切できない状況。 だからこそ、引越しの日が母と直接会える最後の貴重な時間でもありました。 新しい環境で少しでも早く慣れて穏やかに過ごせるよう、心の中で何度も祈ったのを覚えています。
ところが、引越しから数日も経たないうちにケアマネジャーさんから連絡がありました。 「お母さまが不穏な状態で、職員もどう接すればよいか分からない」とのこと。 体に触れられるのを嫌がり、叩いたり蹴ったりしてしまうこともあるというのです。(今思うと、すごいことですよね…) 「他の入居者さんに手が出ないよう、穏やかに過ごせるよう工夫します」との報告を受けました。
よくよく聞くと、他の入居者さんの部屋に入ってしまった母を職員さんが静止した際に、叩いたり蹴ったりしたとのことでした。 静止されたことに反応してしまったんですね…。この頃の母ならありそうな反応でした。
グループホーム側からは「どんな方なのか詳しく教えてほしい」と依頼があり、戸惑いと焦りを感じました。 「このままでは受け入れが難しいかもしれない」という空気も伝わってきて…。 私は母の生い立ちや性格、これまでの生活環境などを長文にまとめ、提出しました。 「共有してより良い支援につなげたい」と言ってくださり、本当にありがたかったです。
母は常に出口を探しながら、「帰らないと」「お金がない、どうしよう」と言い続けていたそうです。 ケアマネジャーさんは細かく見守り、毎日のようにメールで報告をくださいました。 その内容から、認知症の進行を実感する日々が続きました。
そして2日後には脱走。さらに3日後、一番心配していたことが起こります。 他の入居者さんに母の足が出てしまったのです。 相手の方の暴言に反応して、母の素早い蹴りが入ってしまったとのこと。 職員さん介入間に合わず…💧 怪我はなく幸いにも、相手のご家族も理解を示してくださり、大事には至りませんでした。
コロナ禍で会えなかった5ヶ月の間に進んだ症状、そして新しい環境への戸惑い。 この不運の重なりが本当に憎らしくて、そして「他の選択肢がない」現実に打ちひしがれました。 もしこの状況でなければ、母はもっと楽しく穏やかな時間を持てたはず・・・。 そんな思いが頭の中をぐるぐると巡りました。
対応が難しくなり、精神科で診てもらうことに。 軽い投薬が始まりました。 家族としては精神薬への抵抗もありましたが、母を見てもらっている以上、安全な生活を守るためには受け入れるしかありませんでした。
入居当初は「コロナが落ち着いたらカラオケもできますよ!」と聞き、カラオケセットを準備していました。 けれど、使用できる頃には母はもう歌うことを忘れてしまっていて…。 新品のカラオケセットは、最後まで開封されないまま戻ってきました。
新しい生活が、こんなにも母を遠く感じるとは思いもしませんでした。
何気ない毎日は当たり前ではない。目の前にいるのは愛する大切な人だよ。あの頃の私に伝えたい。
つづく…

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